もうそれは、遅すぎた結末。








守るため、嘘をついた。


傷つけぬために、嘘をついた。


数え切れないほどの


彼女一人に対してだけでも、途方もない量で。








ただの自己満足だったこと


それを理解したのは何時だったか


少なくともこの呆然とする頭でさえ


遅すぎたことだけは理解していた。








もう2度と、大切な物を失う訳にいかないと


あの時から、それを負って生きてきたはずだったんじゃないのか?


だから彼女を守るべく


嘘と呼ばぬ嘘を吐き続けてきた。





「何処へ行ってしまうんですか?」




きっと理解していたであろう彼女が


それでも問うた、


その最期の言葉にさえも。







全ては己に対しての嘘と同義語。


彼女は全ての嘘を


それでも嘘の笑顔で俺に返していたのだろうか。


…否


嘘だと解っていても、本当の笑顔で受け入れてくれていた。









だからその代償が



小さい訳はないことを



誰より知っていたのに






       

―――塗  り  固  め  ら  れ  た  嘘  と  嘘

       




固められた嘘






それは己の手によって。













どこで道を誤ったのか









…どこで道を誤らなければ











彼女を失わずに、済んだのだろうか。