例えそれがもう鈍くしか光りはしない色だったと、しても。









それは複雑すぎる感情。


全てが混ざり合った、純粋には遙かに遠い


良いとも悪いとも、誰も言えはしない


それでも淡く光ろうとするのは


せめてもの幸いか










否定されるのが怖かった。


その感情は間違っているのだと、誰かに言われる事を恐れていた。


この愛の形も、中身も全てを。








だから俺は逃げたんだろう?


逃げることは何より嫌いだったはずなのに


――否、逃げることさえ知らなかった愚かな俺が


何より大切な彼女を置いていくことを決めた。


愚かな言い訳も、己自身につけて


逃げる事を、正当化したかっただけ、それだけのために。









それでも彼女を愛しているとは


あまりにもおこがまし過ぎる


逃げたことを否定できない俺が


彼女の何になれるという?








整わない器に注がれた愛に


多くの不純物を、俺は入れた。


彼女の美しい愛の形を


粉々に砕いた、その後に。





       

―――愛  の  精  度  

       






最期まで彼女は笑っていたという。







美しい彼女の最期まで、俺が汚すわけにはいかないと知っていた。






それでも、君より数百倍と汚いこの感情でも





君を愛していたこと、それを









この心に留めておくのは罪だろう、か。