君はそれでも笑ってくれるよな?



この言葉を、聞いても。







雪が舞う。

途方もなく白い、純白の花


振り続けるそれは、すでに空地を埋め尽くしていた。




本当なら

本当ならば


自分は今あそこに居た。はずだった。




いつの間にかなんて解らない。

こんな病に負けるほど

俺は弱かったのか







「お前、顔色悪いヨ。」

そう言ったときの君の眼は

恐ろしいほどに真っ直ぐで


「どこか悪――」


「見間違いだろィ。俺が顔色悪ぃってんならお前の顔も白すぎんだろ」


「……違う、お前は――」


「黙って帰れ。俺は寝てぇんだ」


「……待ってる。あの空き地で、オマエも来るだロ?」


その問に答えるくらい

簡単だったはずなのに




無言な俺を見つめるその眼は



今にも泣きそうな






「また会いに来るアル。」






行ってしまった君の背は


もう俺には届かない。


あんなに近かったはずの眼が


どうしてここまで追い詰める?




「会える内に、来てくだせぇよ」




会いに来る



その目的を君が果たせるのは、あとどれくらいだろうか








「…殺して、くれよ」



微かな呟き。




神楽、



お前にならそれが出来るだろ?




神楽、



お前ならおれのこの最後の願いを聞いて



笑って頷いて



叶えて、くれるよな?





       

―――叶  わ  ぬ  願  い  

       




解ってんだろ?



だから俺は、願う。









この身が果てる、




その前に。