裁量と判断基準は



一体何処にあるというのだろうか。





もともと神を信じようとは思っていなかった。


神は平等、そんな物


一体誰の戯言か


平等がこの世にあるなどとは


誰の吐いた夢物語だ?




それでも、アイツと引き合わせたのが神だとしたら


その存在とを信じろと言われれば


信じたのかもしれない。





現実を、知るまでは。





この現実を正面から否定するほど、俺は馬鹿じゃない。


目で見えるものが全て


目で見えるものに、嘘はない。


それだけを信じてここまで生きてきた。




白い顔は無防備に、


天井を見つめて笑う。


その焦点は天井なのか


それともその上に待つものなのか


虚ろう瞳が決して俺を映しはしないことを、頭のどこかが否定する。


なぁ、お前は今その名を呼べば


俺の眼を見て、笑ってくれるよな――?


       

―――神  の  居  な  い  世  界  

       



「 ハ ル 」



もう少し、俺に神の存在を信じさせてくれればよかったのに




微笑むお前の顔は、もう寸分も動きはしない。


選ばれたことに何を言うでもなく


お前はただ花に埋まる





せめて、俺一人



神よ、アイツ共に連れて行ってくれ





最期の平等として





最期の、信心を使って。