それが真実という名の

           残酷。




分かっていた、はずだった。

自分が禁忌を犯したことを。

そして、今

何も出来ずにただ立ち竦む。


吹き付ける風に揺らめくのは金色の髪。


漆黒の杖と漆黒のローブと共に


この地に立つ。


「ローズ・ウィーズリー?」

問いかける声は、それでも今までと変わらず

甘く、優しくて

「――っ…スコーピウス…」

望まぬ水滴は止まってはくれない。



微笑む彼の顔が、言葉をつむぐ


「愛しているよ」

言い終えた刹那

彼の身体を貫いたのは、緑色の閃光。






鳴呼、そうなのね。


たくさんの事を教えてくれた貴方からの


これが最後の贈り物。


「止めろ、ローズ!!」


響くのは父親の声

けれど、頭はそれを気にも留めず




       

―――真  実  と  残  酷  と

       



私を主とするこの杖は、彼の杖が彼にそうした様に


きっと私のこの願いを、叶えてくれる筈




…そう、転がる折れた漆黒の杖が




彼の心臓の鼓動を 
 


 
止めた様、に。





ローズ視点。
主の最後の望みなら、杖も叶えてくれるんじゃないかという捏造。
このサイトではこの捏造がよく出てきます…。