特別に、1つ願いが許されるのなら


神様、この白さをどうか止めないで。








真紅の絨毯を踏みしめ、階段を降りる。


行き先は、地下。

小気味良い自分の靴が鳴らす音に、

今更ながらこの時を自分がどれだけ待っていたかを知る。

人気のない城の中を、反響した足音が満たした。


クリスマス休暇で、この城には今ほとんど人の姿はない。

まして、緑輝く蛇寮の生徒ならなおさら。



――― 一人を、除いて。




「待たせてしまった?」

「早かったじゃないか」




相手の姿を認め合った瞬間、

2人の声が重なる。

刹那の静寂、そして起こったのは笑い。




「行こうか?」



手に触れたのはほんの一瞬





                            プラチナブロンドの髪

                            双つ煌く蒼の瞳


                             そして、優しく手の甲に落とされたキスの温度




「顔、赤いな」

「―っ、寒い、からよ!」



       

―――と  あ  る  冬  の  日

       


お願い、白い雪よ

どうか降り続けて?
 




この熱くて溶けそうな思いが

彼に、気づかれぬように。






甘いっていうか、ありきたりネタですみません…!!
うちの子達は悲惨な目ばかりあってるので、たまにはべたに甘く。