この身の全てが彼女にとって不都合な物になるくらいなら



それこそ、この手で全てを――。












生きる世界の差だというのか


それは死ぬ世界の選択でさえ、自由を与えてはくれなかった。


共に生きることへの諦めは元よりつけど


どこまでも非常で非道な


最期の時でさえ、君の側へ居ることを許されはしない。









世界に闇と光が形成されたのは何時のことか


己と彼女を隔てたのは唯一で最大の障壁


決して崩れることも壊れることもない、


例えばそれは世が在る限り


不動の上に存在し続ける巨石の如く


どちらが優勢に立つこともない


例えば闇を葬ったと喜び湧けど


それはただの幻想に過ぎない。









宿命、何と簡潔な


それでいて何と的確な言葉だろうか。


宿命、その言葉に身を委ねれば


全て上手くいくのだろうか。


”禁じられた恋”


終わり無き想い


それが己を、


彼女さえも潰してしまう前に。




       

―――断  絶  せ  よ  そ  の  全  て  を

       






この身一つで全てが終わるはずはない。


けれど、この身一つを失うだけで


彼女が反逆でその生を失うことは免れる。






迷うことがあるだろうか。









……己の全てを断絶せよ









この世と、この想いと










誰より大切な彼女、から。