死んだような顔


生きているかのような顔


どちらも、君の顔に違いないのだけれど。








まるで、死んだように世界を生きるかのごとく


君はいつも、虚ろな瞳をしていた。


世界を悲観した、


己が滅ぶ運命さえ受け入れきったような


蒼い瞳は、何を映していたのだろうか。






運命に抗いたかった。


彼と私の違いは、そこにあって


運命だと諦められるような強さも、


蒼い瞳の奥の虚ろな感情も、


私には無く。


彼の愚直さを哂い


それでもそれが欲しかった。






緑色に輝く蛇寮が、彼の死を悼む。


けれど唯一闇にだけ抗った彼を


様々なものに抗いながら、闇にだけ抗わなかった蛇寮の人々の中で


本当に追悼する者が、何人居るというだろう?






ほとんど笑みを見せることの無かった彼は


壇上に飾られる写真でさえ、


笑いを見せることは無く




       

―――蒼  色  の  瞳  

       




虚ろでもなお、


美しいと思った彼の蒼い瞳は


花に埋もれてさえ虚ろに輝く。



けれど生きている時と顔も、表情も変わらないというのに


どうして君の瞳はもう何も映しはしない?




ねぇ、教えてよ



一つ,一つだけ







君のいないこの世界を




運命だと受け入れる、その術を。